角分解能計算機の使い方
角分解能計算機は、レイリー回折基準に基づき、光学系・電波望遠鏡・撮像系などが2つの点光源を分離できる理論上の最小角距離を求めます。検索で使われる「角度分解能 計算」や「望遠鏡 分解能 計算」に対応するツールです。
- 波長(λ)を入力 — 観測する光または電磁波の波長を入力し、単位(m、cm、mm、μm、nm)を選びます。可視光の目安は 550 nm です。
- 開口径(D)を入力 — レンズ、主鏡、アンテナの有効な円形開口の直径を入力し、単位(m、cm、mm、inch)を選びます。入力値は正の数である必要があります。
- 出力角度単位を選択 — ラジアン、度、分角、秒角のいずれかを選び、角分解能 θ の表示単位を指定します。
- 結果を確認 — 選択した単位の主結果と、4種類の角度単位への換算値を同時に確認できます。
結果欄には使用した公式も表示されるため、計算過程を確認できます。θ が小さいほど、理論上は細かい角度差を分離できます。
角分解能計算機の公式と理論
角分解能計算機は、円形開口の回折限界を見積もるレイリー基準(Rayleigh criterion)を実装しています。レイリー基準で定義される分離限界は、近接した2つの点像をちょうど2点として見分けられる最小の角度差です。
θ = 1.22 × λ / D
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| θ | 最小分離角(ラジアン) |
| λ | 光または電磁波の波長(m) |
| D | 円形開口の直径(m) |
| 1.22 | ベッセル関数 J₁ の第1零点に由来するエアリーディスク係数 |
係数 1.22 は、円形開口が作るエアリーパターンの第1暗環に対応します。計算機は入力単位をメートルに換算して θ を求め、ラジアン、度、分角、秒角に変換します。
ここでいう角分解能(角度分解能)は、遠方の2点を分離できる最小角距離、つまり光学系の細部を見分ける能力です。一方、視角や天体の視直径は、対象そのものが観測者から見て占める見かけの角度(見かけの大きさ)を表します。カメラの画角も写し込める範囲の角度であり、角分解能や分離限界とは異なります。
角分解能計算機の限界と近似
角分解能計算機が返すのは、理想的な回折限界です。実際の装置では、次の要因によって有効な分解能はさらに低下します。
- 大気のシーイング — 大気の乱流が星像や遠景をぼかします(補償光学や宇宙望遠鏡で影響を抑えられる場合があります)。
- センサーの画素サイズ — 検出器がエアリーディスクを十分細かくサンプリングできる必要があります(ナイキスト条件)。この計算機は画素ピッチを入力して評価するものではありません。
- 光学収差 — レンズや反射鏡の球面収差、コマ収差などは、回折限界を超えるぼけを加えます。
- 信号対雑音比 — 光子数が少ない場合や電子ノイズが大きい場合、実効的な分離能力が低下します。
- 開口モデルの違い — 式は一様に照明された円形開口の近似です。中央遮蔽、開口の形状、アンテナの照明分布、干渉計の基線などは個別に計算しません。
角分解能計算機の用途
角分解能計算機は、天文学、光学設計、写真・撮像システム、アンテナ工学の初期見積もりに役立ちます。
- 光学望遠鏡 — 可視光の波長と主鏡の口径から、近接した二重星などを分離できる理論的な秒角を見積もれます。実際の観測ではシーイングや収差も確認してください。
- 電波望遠鏡 — cm〜m級の長い波長で、同じ角分解能を得るには大きな開口が必要になることを確認できます。干渉計の配列そのものの性能を計算するツールではありません。
- 顕微鏡の光学教育 — 開口による回折限界の考え方を学ぶ目安になります。ただし、顕微鏡の開口数(NA)から横方向の分解能を求める公式(例:0.61λ/NA)を直接計算する機能ではありません。
- カメラレンズと写真 — 波長とレンズの有効開口径から、理想的な回折限界の角度を推定できます。焦点距離、F値、画素ピッチ、MTFは入力に含まれません。
- レーダーとアンテナ — 円形のパラボラアンテナなどについて、波長と開口径から理論的なビーム幅の目安を求められます。実際のビーム幅は照明分布やアンテナ設計にも依存します。
- 天文・光学の学習 — 波長を短くする、または開口径を大きくするほど角分解能の値が小さくなる関係を確認できます。