フレネルゾーン計算機の使い方
フレネルゾーン計算機は、送信アンテナと受信アンテナを結ぶ無線回線で、障害物を避けるために必要な空間の目安を確認するツールです。周波数、送信機から障害物位置までの距離d1、障害物位置から受信機までの距離d2、フレネルゾーンの次数nを入力してください。結果には、その位置でのフレネルゾーン半径、波長、総伝送路長、必要なクリアランスの目安が表示されます。
距離と周波数は、実際のリンク条件に合わせて入力します。フレネルゾーン半径は送信機・受信機の中間付近で最大になり、両端に近づくほど小さくなります。屋外Wi-Fiブリッジ、マイクロ波回線、ポイントツーポイント無線、ローカル5Gなどを検討するときは、建物、樹木、地形、仮設物が第1フレネルゾーンに入り込んでいないかを確認してください。
単にアンテナ同士が見えるだけでは、安定した無線リンクとは限りません。まず見通し線(LoS)を確保し、次に第1フレネルゾーンの十分なクリアランスを確認します。一般的な初期検討では、第1フレネルゾーンの少なくとも60%を障害物から確保することがよく推奨されます。実際の設計では、現地調査と機器仕様に基づくリンクバジェットも併せて確認してください。
フレネルゾーン半径の計算式と前提
フレネルゾーンは、送受信アンテナ間の見通し線を囲む楕円体状の空間です。位置d1、d2におけるn次フレネルゾーン半径は、近似的に次の式で求めます。
r_n = √(n × λ × d1 × d2 / (d1 + d2))
λ = c / f
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| r_n | n次フレネルゾーンの半径 |
| n | フレネルゾーンの次数(第1ゾーンなら1) |
| λ | 波長 |
| d1 | 送信機から対象点までの距離 |
| d2 | 対象点から受信機までの距離 |
| c | 光速 |
| f | 周波数 |
第1フレネルゾーンは、無線リンクの品質への影響が最も大きいため、通常は最優先で確認します。ゾーン内に障害物があると、回折、反射、吸収により受信レベルが下がったり、マルチパスの影響が大きくなったりすることがあります。60%という値は実務上の目安であり、降雨、樹木の生長、地形、地球曲率、アンテナ特性、フェージングマージンまではこの簡易式に含まれません。
フレネルゾーン計算機の活用例
フレネルゾーン計算機は、次のような無線回線の初期設計・現地確認に役立ちます。
- ポイントツーポイント無線 — 2地点を結ぶWi-Fiブリッジやマイクロ波リンクで、樹木・建物の影響を確認します。
- アンテナ高の検討 — 障害物の位置で必要なクリアランスを見積もり、アンテナの設置高を比較します。
- 回線ルートの比較 — 周波数や中継地点を変えたときのフレネルゾーン半径を比べます。
- 現地調査の準備 — 地形図や現場の障害物を確認する前に、重点的に見るべき高さと位置を整理します。
このフレネルゾーン計算は、平坦な地形と理想的な伝搬条件を前提とした初期推定です。長距離リンクや重要な通信回線では、地球曲率、地形、建物、植生、気象、法令、実測結果を含む専門的なパス解析を行ってください。