この挿入損失計算機は、回路、ケーブル、コネクタ、フィルタ、光部品などを信号経路に挿入したときの信号電力の減衰を、デシベル(dB)で計算します。挿入損失は、入力端子に入った信号レベルと出力端子から出る信号レベルの差を表す指標です。
電力から求める場合は IL(dB) = 10log10(Pin/Pout)、入出力インピーダンスが等しい電圧から求める場合は IL(dB) = 20log10(Vin/Vout) を使います。
挿入損失計算機の使い方
- 計算モードを選ぶ — 電力モードまたは、等インピーダンスを前提とした電圧モードを選びます。
- 入力値と出力値を入力する — Pin/PoutまたはVin/Voutを、同じ種類・同じ基準で入力します。
- 単位を選ぶ — W、mW、V、mVなど、測定値に合う単位を選びます。
- dBの結果を確認する — 正のdB値は損失、負のdB値は出力が入力より大きい利得を表します。
挿入損失の計算式
電力による挿入損失
IL(dB) = 10 × log10(Pin / Pout)
等インピーダンス時の電圧による挿入損失
IL(dB) = 20 × log10(Vin / Vout)
- Pin / Vin:入力電力または入力電圧
- Pout / Vout:出力電力または出力電圧
- IL:挿入損失(dB)
計算例
入力電力が10mW、出力電力が5mWの場合を考えます。
IL = 10 × log10(10 / 5)
IL ≒ 3.01dB
この経路の挿入損失は約3dBです。3dBの損失は、電力がおよそ半分になることに相当します。
dB値の読み方
| 挿入損失 | 電力比の目安 | 意味 |
|---|---|---|
| 0dB | 100% | 理想的には損失なし |
| 3dB | 約50% | 電力がおよそ半分 |
| 10dB | 10% | 電力が10分の1 |
| 負のdB | 100%超 | 損失ではなく利得として解釈 |
損失を正の値で表すか、伝送利得を負の値で表すかは、測定器や資料の表記により異なる場合があります。式の分子・分母と符号の定義を確認してください。
挿入損失が役立つ場面
- RF・高周波回路:ケーブル、フィルタ、分配器、アンテナ系統の減衰を確認する。
- 光通信:光ファイバー、コネクタ、スプライス、受動光部品の損失を比較する。
- 音響・計測:信号経路に追加した部品が信号レベルへ与える影響を確認する。
- 電子回路の学習:電力比、電圧比、dBの対数表現を数値で理解する。
使用時の注意点
この計算機は、入力と出力が同一条件で測定されたという前提の概算・検算用ツールです。電圧モードは入出力インピーダンスが等しい場合に使ってください。インピーダンスが異なる場合、電圧比だけで電力損失を正確に判断することはできません。
実際の測定では、周波数、温度、ケーブル長、コネクタ状態、校正、反射、インピーダンス不整合、測定器の不確かさが結果に影響します。設計・規格適合・安全に関わる判断では、データシート、校正済み測定、適用規格、専門家の確認を併用してください。