雑音指数計算ツール

入力・出力のS/N比から雑音指数(NF: Noise Figure)およびノイズファクター(F)をdB単位で計算。フリスの公式を用いた多段接続アンプの総合NF計算にも対応したオンラインシミュレーターです。

930.9K 利用回数 更新日 · 2026-05-11 ブラウザ内で処理 · アップロードなし
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雑音指数計算ツールの使い方

雑音指数(NF)計算ツールは、「基本モード(単段回路の評価)」と「多段接続モード(フリスの公式を用いた複数段システムの評価)」の2つのモードに対応しています。

基本モード

  1. モード切り替えで基本を選択します。
  2. **入力S/N比(SNR_in)**を入力します。ドロップダウンから「dB」または「真数(リニア)」を選択できます。
  3. **出力S/N比(SNR_out)**を入力します。
  4. ノイズファクター F = SNR_in / SNR_out および雑音指数 NF = 10 × log₁₀(F) [dB] が自動的に計算・表示されます。

多段接続モード(フリスの公式)

  1. モード切り替えで多段接続を選択します。
  2. 各段の**雑音指数(NF [dB])利得(Gain [dB])**を入力します。
  3. 「+ 段を追加」ボタンをクリックして、段数を自由に追加・削除できます。
  4. フリスの公式に基づき、システム全体の**総合雑音指数(NF_total)および総合ノイズファクター(F_total)**が算出されます。
  5. 内訳テーブルには各段の雑音寄与分が表示されるため、どの段が主要なノイズ要因になっているかを簡単に特定できます。

計算式と理論背景 — 雑音指数(NF)の計算

本ツールは、高周波(RF)および無線通信工学で用いられる標準的な理論に基づいています。

ノイズファクターと雑音指数の関係式

F  = SNR_in / SNR_out
NF = 10 × log₁₀(F)   [dB]
F (真数/リニア)NF (dB)説明
1.00 dB理想的な無雑音デバイス
1.261 dBわずかなノイズ付加
1.582 dB低雑音アンプ(LNA)レベル
2.03 dBS/N比が半減(雑音電力が倍増)
3.165 dB標準的な増幅回路
1010 dB雑音の多い回路

雑音指数 NF = 3 dB のシステムでは、出力S/N比が入力S/N比より3 dB低下(信号の品質が半分に劣化、雑音電力が2倍に増加)することを意味します。

dB表記と真数の相互変換

F_linear = 10^(NF_dB / 10)
NF_dB    = 10 × log₁₀(F_linear)

本計算ツールでは、dB表示と真数表示を相互に自動変換して処理を行います。

フリスの公式(多段接続時の雑音指数)

複数のアンプや受動素子を直列接続(カスケード接続)した場合、システム全体のノイズファクター F_total は以下の**フリスの公式(Friis Formula)**により求まります。

F_total = F1 + (F2 − 1)/G1 + (F3 − 1)/(G1 × G2) + (F4 − 1)/(G1 × G2 × G3) + ...

※ここで G_i は第 i 段の真数パワー利得、F_i は第 i 段の真数ノイズファクターです。

設計上の重要なポイント:

  • 初段の利得 G1 の影響: 初段の利得が大きいほど、2段目以降の雑音寄与分が抑えられます。
  • 初段の雑音指数 F1 の影響: 初段の雑音は減衰されずにそのまま全体系のノイズファクターに加算されます。
  • LNA(低雑音増幅器)の配置: 受信機の最前段に低雑音で高利得なLNAを配置するRF回路設計の根拠がここにあります。

雑音温度(等価雑音温度)との関係

雑音表現のもう一つの手法として雑音温度 T_e(K: ケルビン)があります。

T_e = (F − 1) × T0

ここで T_0 = 290 K(標準参照温度・室温約17℃)です。例えば、雑音指数 NF = 1 dB(F ≈ 1.259)のとき、等価雑音温度は T_e ≈ 75 K となります。衛星通信や電波天文などの極低温受信システムでは雑音温度が頻繁に用いられます。

雑音指数計算ツールの活用シーン

本シミュレータは、RF設計、無線通信、エレクトロニクスエンジニアリングの現場や学習で広く利用いただけます。

  • RF受信機チェーンの設計: LNA、フィルタ、ミキサ、IFアンプなどを多段接続した際の総合NFを計算。最適な利得分配やコンポーネント構成の検討に活用できます。
  • LNA(低雑音増幅器)の性能評価: 実測した入力・出力S/N比からNFを算出し、データシートのスペック値と比較・検証できます。
  • 回線設計(リンクバジェット分析): 受信システム全体の雑音指数を把握し、最小受信感度や所要S/N比の確保に向けた回線設計に組み込めます。
  • フィルタ損失の評価: アッテネータや帯域通過フィルタなどの受動素子の雑音指数は挿入損失(dB)と等しくなります。フリスの公式に挿入損失を含めることで、全体系への影響を可視化できます。
  • 大学・技術研修の教材: フリスの公式による各段の寄与分が可視化されるため、高周波工学や通信理論の理解に役立ちます。
  • 衛星通信・レーダーシステム: 高感度なアンテナ受信部における低雑音性能の最適化やシステム設計に貢献します。

雑音指数計算ツールについてのよくある質問

雑音指数(NF)とは何ですか?

雑音指数(NF: Noise Figure)とは、信号が回路やシステムを通過する際にS/N比(信号対雑音比)がどれだけ劣化するかをデシベル(dB)単位で表した指標です。理想的な無雑音回路ではNF = 0 dBとなり、数値が小さいほど優れた低雑音性能を示します。

ノイズファクターと雑音指数の違いは何ですか?

ノイズファクター(F)は入力S/N比と出力S/N比の比率を真数(リニア値)で表したもの(F = SNR_in / SNR_out)です。一方、雑音指数(NF)はそれをデシベル表記に変換したもの(NF = 10 × log₁₀(F) [dB])です。例えばF = 2の場合、NF ≒ 3 dBとなります。

多段接続におけるフリスの公式とは何ですか?

フリスの公式(Friis formula)は、複数の増幅器や回路を直列(多段)に接続した際の総合ノイズファクター(F_total)を計算する公式です。式は F_total = F1 + (F2 - 1)/G1 + (F3 - 1)/(G1 × G2) + ... となり、各段のノイズファクター F_i と真数利得 G_i を使用します。

なぜ初段の増幅器(LNAなど)が最も重要とされるのですか?

フリスの公式から明らかなように、2段目以降の雑音寄与分は前段の累積利得で除算されるためです。初段に高利得かつ低雑音の増幅器(LNA)を配置することで、後段で発生する雑音の影響を大幅に低減できます。

S/N比をdBではなく真数(リニア値)で入力できますか?

はい、可能です。本ツールでは、入力S/N比および出力S/N比をdB単位と真数比率のどちらでも入力・選択いただけます。

入力したデータはサーバーに保存されますか?

いいえ。すべての計算処理はお使いのブラウザ内(クライアントサイド)で完結し、外部サーバーに送信されることは一切ありません。