軌道速度計算ツールの使い方
軌道速度計算ツールは、中心天体の質量と軌道半径、または天体半径と軌道高度から、円軌道における速度を求めます。既知の値を入力し、測定値に合う単位を選択してください。結果欄では主な速度に加え、換算後の値や計算式への代入を確認できます。
高度から計算する場合、入力する半径は地表からの高さではなく、中心天体からの距離です。地球を例にすると、軌道半径は「地球半径 + 軌道高度」です。天体のプリセットを選ぶか、カスタム天体の質量と半径を入力してください。
低軌道の人工衛星、月・火星などの周回、仮想的な天体の比較など、条件を一つずつ変えると、半径と人工衛星の軌道速度の関係を把握しやすくなります。
軌道速度の計算式と理論
円軌道の速度は、ニュートンの万有引力と向心力のつり合いから、次の式で表されます。
v = √(GM / r)
ここで、v は円軌道速度、G は万有引力定数、M は中心天体の質量、r は中心天体から衛星までの距離です。r が大きくなるほど円軌道速度は小さくなります。JAXA が紹介する低軌道の人工衛星は高度およそ 200〜2,000 km を周回し、速度はおよそ 28,800 km/h とされています。
関連して、選択した半径からの理想的な脱出速度は次の式で求められます。
v_escape = √(2GM / r)
これは大気抵抗や推進損失を含まない理想値です。
前提と限界
この計算は、二体問題に基づく円軌道の近似です。楕円軌道では速度は一定でなく、近地点で速く遠地点で遅くなります。大気抵抗、地球の非球形性、月・太陽などの摂動、推進、姿勢制御、相対論的効果は含みません。実際の衛星運用やミッション設計には、軌道要素、観測値、適切な軌道伝搬ソフトウェアを用いてください。
軌道速度計算ツールの活用例
- 宇宙・物理の学習 — 第一宇宙速度や万有引力と円運動の関係を確認する。
- 人工衛星の概算 — 低軌道・中軌道・静止軌道付近の速度差を比較する。
- 惑星科学 — 地球、月、火星など、異なる中心天体での円軌道速度を比較する。
- 手計算の照合 — 単位換算と
v = √(GM/r)の代入結果を確認する。 - 初期設計の検討 — 詳細な軌道解析の前に、必要な速度の規模を把握する。
結果は教育・初期検討のための値です。打上げ、衛星運用、航法、安全に関わる判断には直接使用せず、専門家のレビューと検証済みの設計・解析手順を必ず使用してください。