ファンデルワールス状態方程式計算機の使い方
ファンデルワールス状態方程式計算機は、5つの変数が既知のとき、残りの1つを求めます。求める値を選び、他の値を入力すれば結果が表示されます。
- 求める値を選択 — ファンデルワールス状態方程式計算機では、P(圧力)、V(体積)、T(温度)、n(物質量)のいずれかを求められます。選択した項目は入力欄が無効になります。
- 圧力・体積・温度・n・a・b を入力 — SI 単位を使用します。圧力は Pa、体積は m³、温度は K(ケルビン)です。摂氏(℃)を選んだ場合も内部でケルビンに換算されます。
- ファンデルワールス定数 a と b を入力 — 表値の SI 単位(a は Pa·m⁶/mol²、b は m³/mol)を使うか、よく使う気体の代表的な定数を参考に入力します。
- 計算結果を確認 — ファンデルワールス状態方程式計算機は、実在気体の答えと使用した式を表示します。理想気体との差を確認したい場合は、同じ条件で理想気体の状態方程式計算機と比較してください。
公式と理論 — ファンデルワールス状態方程式計算機
ファンデルワールス状態方程式計算機は、理想気体の状態方程式 PV = nRT に対する古典的な実在気体の補正を用います。
( P + a · n² / V² ) · ( V − n · b ) = n · R · T
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| P | 圧力(Pa) |
| V | 体積(m³) |
| T | 絶対温度(K) |
| n | 物質量(mol) |
| a | 分子間引力の補正定数(Pa·m⁶/mol²) |
| b | 分子の排除体積(m³/mol) |
| R | 気体定数 8.314 J/(mol·K) |
a 項は分子間引力により有効圧力を下げる補正、b 項は分子が占める体積分だけ利用可能な体積を小さくする補正です。
主要気体のファンデルワールス定数
| 気体 | a(Pa·m⁶/mol²) | b(m³/mol ×10⁻⁵) |
|---|---|---|
| H₂ | 0.02477 | 2.661 |
| N₂ | 0.1408 | 3.913 |
| CO₂ | 0.3658 | 4.286 |
| H₂O | 0.5537 | 3.049 |
| He | 0.003457 | 2.370 |
a が大きいほど分子間引力が強く、CO₂ や水は H₂ や He より理想気体から大きくずれます。
前提と限界
ファンデルワールス状態方程式は、最も単純な実在気体の補正モデルです。臨界点付近では定性的に正しい一方、定量的な精度には限界があります。高精度が必要な場合は、Peng-Robinson 式や SRK 式などの立方型状態方程式、または NIST の物性データを使用してください。
活用例 — ファンデルワールス状態方程式計算機
ファンデルワールス状態方程式計算機は、理想気体の法則を超えた見積もりを素早く行いたいときに便利です。主な用途は次のとおりです。
- 高圧ガスボンベ — 100〜300 bar 級の高圧貯蔵容器内の実際の圧力を見積もり、理想気体の法則が過小評価しがちな領域を確認する。
- 液化の概算 — 冷媒や工業用ガスの気液境界付近の状態を近似し、凝縮条件を把握する。
- 学習での比較 — 授業や実験で理想気体と実在気体の結果を並べ、理想気体近似が破綻する条件を説明する。
- 工学の初期検討 — プロセス設計でより複雑な状態方程式を使う前に、実在気体の一次チェックを行う。
- 超臨界流体の研究 — 定数 a と b から導かれる臨界点(P_c、V_c、T_c)付近の P-V-T 挙動を調べる。T_c = 8a/(27Rb)、P_c = a/(27b²)。
- CO₂ 貯留 — 超臨界条件(T > 304 K、P > 73 atm)での CO₂ 体積を見積もり、地中貯留容量の検討に役立てる。
工学レベルの精度が必要な場合は、対象気体のファンデルワールス定数を表から確認し、より高次の状態方程式や NIST Webbook のデータで検証してください。ファンデルワールス状態方程式計算機は、最も手軽で分かりやすい一次近似の実在気体計算ツールです。