ストークスの法則 計算ツールの使い方
本ストークスの法則 計算ツールは、クリープ流(層流)理論における2つの重要な計算に対応しています。指定した速度で移動する球状粒子に働く粘性抗力(抵抗力)の算出と、力が釣り合って一定速度に達する終端速度(沈降速度)のシミュレーションが可能です。
- 計算モードを選択 — 速度が既知で抗力を求めたい場合は「粘性抗力 Fd」、力の釣合い状態での沈降速度を求めたい場合は「終端速度 vt」を選択します。
- 流体の粘度 μ を入力 — 例:20 ℃の水 1.002 × 10⁻³ Pa・s、20 ℃の空気 1.81 × 10⁻⁵ Pa・s、グリセリン ≈ 1.5 Pa・s。
- 球の半径 r を入力 — 水中で約1 mmを超える粒子の場合、結果の信頼性を高めるために粒子レイノルズ数 Re_p < 1 であるか確認してください。
- 速度 v(抗力モード時)または粒子密度 ρ_p・流体密度 ρ_f・重力加速度 g(終端速度モード時)を入力します。
- 計算結果を確認 — 粘性抗力(N, mN)または終端速度(m/s, mm/s)が表示されます。あわせてストークス領域の適用範囲内であるかを判断する粒子レイノルズ数 Re_p も表示されます。
公式と理論 — ストークスの法則の計算式
本計算ツールでは、固体球周りの遅い流れ(Re_p ≪ 1)に対する解析解を適用しています。
F_d = 6 · π · μ · r · v (ストークスの抗力式)
v_t = 2 · r² · (ρ_p − ρ_f) · g / (9 · μ) (終端速度・沈降速度)
Re_p = 2 · r · v · ρ_f / μ (粒子レイノルズ数)
| 記号 | 意味・説明 | SI単位 |
|---|---|---|
| F_d | ストークス抗力(粘性抵抗力) | N |
| v_t | 終端速度(沈降速度) | m/s |
| μ | 流体の粘度(動粘度・粘性係数) | Pa·s |
| r | 球の半径 | m |
| ρ_p | 粒子(球体)の密度 | kg/m³ |
| ρ_f | 周囲流体の密度 | kg/m³ |
| g | 重力加速度(約 9.81) | m/s² |
| Re_p | 粒子レイノルズ数 | — |
ストークスの法則は、粒子レイノルズ数 Re_p < 0.1(誤差1%未満)で厳密に適用でき、Re_p ≈ 1 程度まで近似的に使用できます。Re_p が1〜1000の範囲では、オーゼンの補正式(1 + 3Re/16)やシラー・ノーマンの実験式が用いられます。終端速度 v_t は粒子の半径の2乗(r²)に比例するため、粒子径が2倍になると沈降速度は4倍になります。
ストークスの法則 計算ツールの活用シーン
- 微粒子の沈降・濁度処理解析 — 水処理施設や土木環境工学において、土砂、粘土、フロックなどの粒子が沈殿池で沈降する速度を予測します。
- 遠心分離プロセスの設計 — 遠心機や超遠心機での沈降分離設計において、重力加速度 g を遠心加速度 g_eff = ω²r に置き換えてストークスの法則を拡張適用します。
- エアロゾルの沈降・粒子捕集シミュレーション — 室内空気質やPM2.5、粉塵、花粉などの微粒子エアロゾルが重力によって自然降下する速度の推計に役立ちます。
- 落球式粘度計による粘度測定 — 垂直ガラス管内を落下する較正用鋼球の落下時間を測定し、未知の流体の粘度(粘性係数)を算出します。
- 医薬品懸濁液・エマルションの安定性評価 — 薬液中の微粒子が沈降または浮上(クリーミング)する速度を算出し、最適な分散安定剤の選定に活用します。
- 流体力学・物性物理の教育デモ — ストークス領域では抗力が速度に比例(対して高Re領域の乱流抗力は v² に比例)することを視覚的に理解・学習できます。