APACHE IIスコア計算機の使い方
APACHE IIスコア計算機は、ICUで用いられるAPACHE II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II)重症度スコアを、入力値から確認するためのツールです。左側の入力欄に測定値を入れ、右側の結果パネルで合計点と内訳を確認します。
- 値を準備する — 標準的なAPACHE IIスコアでは、ICU入室後最初の24時間に記録された各生理指標のうち、最も点数が高くなる最悪値を使います。診療録や施設・研究プロトコルで対象時間帯を確認してください。
- 測定値を入力する — この実装が受け付ける急性生理項目は、体温、平均動脈圧(MAP)、心拍数、呼吸数、動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血pH、血清ナトリウム、血清カリウム、血清クレアチニン、ヘマトクリット、白血球数です。
- GCS・年齢・慢性健康状態を入力する — Glasgow Coma Scale(GCS)、年齢、重症慢性疾患の区分も入力します。慢性健康点数は、重度の臓器不全または免疫不全状態があるか、また待機手術後か、緊急手術後・非手術かによって選びます。
- 計算を確認する — 急性生理スコア、年齢点数、慢性健康点数の小計を確認します。
- 結果を読む — 合計点は重症度の目安として解釈します。個人の死亡率や「助かる・助からない」を決める確定的な予後判定ではありません。
APACHE IIスコア計算機はブラウザ内で計算するため、値を修正すると結果をすぐに見直せます。結果が想定と異なるときは、単位、少数点、動脈血かどうか、測定時点、入力した値が同じ定義の最悪値かを確認してください。画面の初期値は患者データの代わりにならないため、欠測値を正常値として入力しないでください。
APACHE IIスコア計算機の計算式と理論
APACHE IIスコア計算機では、次の計算式を使います。
APACHE II = 急性生理スコア + 年齢点数 + 慢性健康点数
APACHE IIは、体温、平均動脈圧、心拍数、呼吸数、酸素化、動脈血pH、ナトリウム、カリウム、クレアチニン、ヘマトクリット、白血球数、GCSの12項目から急性生理スコアを計算し、年齢点数と慢性健康点数を加えます。各生理値は基準範囲からの逸脱が大きいほど点数が高くなり、GCSの寄与は15−実測GCS(GCS 15なら0点、GCS 3なら12点)です。
この実装の年齢点数は、45歳未満が0点、45〜54歳が2点、55〜64歳が3点、65〜74歳が5点、75歳以上が6点です。慢性健康点数は、該当なしが0点、重症慢性疾患がある待機手術後が2点、重症慢性疾患がある緊急手術後または非手術が5点です。表示上は合計を0〜71点の範囲で示し、10点未満、10〜19点、20〜29点、30点以上のスコア帯に分けます。
標準的なAPACHE IIの酸素化評価は、FiO2が0.5未満ならPaO2、FiO2が0.5以上なら肺胞気・動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)を使います。このページの入力欄はPaO2だけで、FiO2やA-aDO2を扱わない簡略版です。そのため、特に高い酸素濃度で管理されている患者では、正式なAPACHE IIスコア表と同じ結果になるとは限りません。
この計算機は、入力欄に示された範囲を使って急性生理、年齢、慢性健康の小計を表示します。実際のスコア計算では、体温の測定方法、MAPの算出、血液ガスの条件、鎮静薬・筋弛緩薬の影響を受けたGCSなど、データの定義をそろえる必要があります。急性生理の値は、入室後24時間の最悪値を使う標準方式なのか、施設が定めた別の時間点なのかを記録してください。
APACHE IIスコアが高いほど、同じ診断群などの集団では重症度や院内死亡リスクが高い傾向を示しますが、これは個人の確定的な予後ではありません。予測死亡率を統計モデルで求める場合は、APACHE IIスコアだけでなく主診断、手術・入室区分なども必要です。このページは死亡率のパーセントを算出せず、スコアとスコア帯を示します。
前提と限界
APACHE IIスコア計算機は、入力された値を機械的に合算する実用的な簡略ツールです。診療録を検証したり、測定条件や薬剤の影響を自動判定したり、地域・施設ごとの死亡率に再較正したりはしません。欠測値、単位違い、測定誤差、入力時間帯の違いがある場合、結果の比較可能性は低下します。値がない項目を推測で埋めず、原資料と施設のスコアリング手順を優先してください。
APACHE IIはICU患者集団の重症度評価、リスク層別化、研究・監査の比較に役立つ一方、個人への治療方針、蘇生方針、転帰を単独で決めるためのものではありません。臨床で使う場合は、訓練を受けた医療者が患者の診断、可逆性、治療への反応、併存疾患、本人の意向などと合わせて判断してください。学習や研究では、採用したAPACHE IIの版、入力定義、時間点、欠測値の扱いを明記してください。
APACHE IIスコア計算機の活用場面
APACHE IIスコア計算機は、入力項目と計算の内訳を確認したい次のような場面で役立ちます。
- ICU重症度スコアの学習 — 急性生理、GCS、年齢、慢性健康という構成要素を分けて理解する。
- 診療録の後方視的な確認 — ICU入室後の対象時間帯から最悪値を拾い、APACHE IIスコアの計算過程を再確認する。
- 研究・レジストリ・品質監査のデータチェック — 単位、時間点、欠測値、年齢点数、慢性健康点数の入力ミスを見つける。
- 急性生理スコアの寄与を説明する — 異常なバイタルサインや検査値が合計点にどう影響するかを示す。
この結果は、スコアの再計算や教育・記録の補助として使ってください。数値を診療録、研究報告、説明資料、意思決定記録に転記するときは、元の測定値、採取時点、入力定義を近くに残し、適切な医療専門家と照合してください。