伝搬遅延計算ツールの使い方
- 伝送距離の入力: データサイズではなく、信号が通過する物理的な経路の距離(m, km, mile, ft)を入力します。
- 伝送媒体の選択: 真空・空気、光ファイバー、銅線ケーブル(同軸・LANケーブル等)、またはカスタム速度係数からプリセットを選択します。
- カスタム速度係数の設定: ケーブルやプリント基板(PCB)のデータシートに記載されている速度係数(NVP: Nominal Velocity of Propagation)が判明している場合は、カスタム項目に直接入力します。
- 遅延時間の確認: 1回の送信にかかる「片道伝搬遅延時間」と、リクエストとレスポンスにかかる「往復伝搬遅延時間(RTT)」の計算結果を確認します。
計算公式と理論 - 伝搬遅延時間(Propagation Delay)の求め方
v = c × 速度係数 (velocity_factor)
片道伝搬遅延時間 = 伝送距離 / v
往復伝搬遅延時間 (RTT) ≈ 2 × 片道伝搬遅延時間
光速 c ≈ 299,792,458 m/s
伝搬遅延(Propagation Delay)とは、電気信号や光信号が物理的な伝送媒体の中を伝わるときに発生する所要時間です。帯域幅に伴う送信遅延(シリアライズ遅延)、ルーターやスイッチでのキューイング遅延、パケット処理時間やソフトウェア処理遅延とは区別されます。
**速度係数(NVP)**は、真空中における光速に対する信号速度の割合を示します。例えば光ファイバー中では、光がガラス内を通過するため真空中より低速になり、速度係数は一般的に約0.67(光速の67%)となります。
実際のネットワーク配線や海底ケーブル、長距離通信ラインでは、直線距離よりも実際の物理配線長(管路・ダクト・パッチパネルの経由)の方が長くなる傾向があります。正確な伝搬遅延時間を計算するには、実際の敷設長を入力することが推奨されます。
伝搬遅延計算ツールの活用シーン
- データセンター間・都市間ネットワークのレイテンシ計算: 物理的な限界(物理最小遅延)の把握。
- 通信・電子回路のタイミング解析: 光ファイバーや同軸ケーブル、基板配線における信号伝搬遅延の確認。
- 物理限界の説明: 長距離通信において光速による物理的制限が存在することを客観的に示す指標として活用。
- ネットワーク遅延の切り分け: ボトルネック解析において、伝搬遅延と帯域幅・パケット処理遅延を分離して分析。