タンパク質分子量計算ツールの使い方
タンパク質分子量計算ツールは、タンパク質やペプチドのアミノ酸配列を入力することで、標準的なアミノ酸残基質量をもとに理論分子量を瞬時に算出するオンラインツールです。SDS-PAGEのゲル電気泳動の準備、質量分析(MS)データの解析、組み換えタンパク質の発現確認などに幅広く活用いただけます。
- 質量タイプを選択 – 「平均分子量(Average)」または「モノアイソトピック質量(Monoisotopic)」のいずれかを選択します。
- アミノ酸配列を入力 – 1文字表記のアミノ酸コード(例: ACDEFGHIKLMNPQRSTVWY)でタンパク質配列を入力またはペーストします。数字、スペース、規格外の文字は自動的に除外されます。
- 結果を確認 – タンパク質分子量計算ツールが分子量(DaおよびkDa)、配列長(総残基数)、ならびに各アミノ酸の個数と組成割合(%)を自動計算して表示します。
長鎖タンパク質や短いペプチド配列でも、ブラウザ上で安全かつ高速に計算されます。
計算式と理論 - タンパク質分子量の計算原理
タンパク質分子量計算ツールでは、以下のアミノ酸残基質量和の基本公式を用いて計算を行っています。
MW = Σ (アミノ酸残基質量 × 残基数) + H2O
脱水縮合によってペプチド結合が形成されるため、各アミノ酸は水分子(H₂O)が抜けた「残基質量」として計算されます。最後にポリペプチド鎖のN末端(H-)とC末端(-OH)を修復するため、水1分子の質量を1回だけ加算します。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| アミノ酸残基質量 | アミノ酸からH₂Oを除いた質量 (Da) |
| H₂O | 18.01524 Da (平均分子量) または 18.01056 Da (モノアイソトピック質量) |
| Σ | 配列中の全アミノ酸残基にわたる総和 |
代表的なアミノ酸残基質量の例(平均分子量):
| アミノ酸名 | 1文字コード | 残基質量 (Da) |
|---|---|---|
| グリシン (Glycine) | G | 57.05 |
| アラニン (Alanine) | A | 71.08 |
| トリプトファン (Tryptophan) | W | 186.21 |
前提条件および制限事項
本計算ツールは、変異や修飾のない標準的なアミノ酸残基質量を使用しています。ジスルフィド結合の形成(S-S結合により水素2原子脱離)、糖鎖付加、リン酸化、シグナルペプチドの切断といった翻訳後修飾(PTM)は考慮されていません。得られる数値は直鎖状の未修飾ペプチド鎖の理論質量となります。
タンパク質分子量計算ツールの活用事例
タンパク質分子量計算ツールは、分子生物学、生化学、バイオ医薬品研究、生命科学分野で頻繁に利用されています。
- SDS-PAGE電気泳動の事前確認 – 組み換えタンパク質を発現・精製する際、ゲル上でどのバンド位置(kDa)に検出されるかを事前に予測できます。
- 質量分析(MS)データの照合 – 測定されたマススペクトル(プリカーサーイオン質量など)と理論分子量を比較し、ペプチド同定やデータベース検索に役立てます。
- タンパク質発現・精製の検証 – ウェスタンブロッティングやMSで得られた実験値と理論値を比較し、正しいフレームで発現しているかを確認します。
- 生化学の教育・学習 – アミノ酸組成と分子量の関係性を学習する学生や研究者の教育ツールとして活用できます。