Sepsis-3 診断基準計算ツールの使い方
Sepsis-3 診断基準計算ツールは、敗血症(Sepsis)の国際的コンセンサス定義「Sepsis-3」に基づく評価手順をスムーズに行うために設計されています。左側の入力パネルに検査値や臨床所見を入力すると、右側の結果パネルに合計SOFAスコア、ベースラインからのスコア変化量、および敗血症スクリーニングの判定結果がリアルタイムで表示されます。
- 感染症の疑いを確認 - 臨床的に感染症が存在する、または疑われる場合に「感染症の疑い」をチェックします。
- 測定値の入力 - ベースラインSOFAスコアのほか、呼吸器(PaO2/FiO2比)、凝固系(血小板数)、肝機能(ビリルビン)、循環器(血圧・昇圧薬)、中枢神経(GCS)、腎機能(クレアチニン)、および血清乳酸値を入力します。
- 計算結果の確認 - 計算された合計SOFAスコアと、ベースラインからの急性変化量(ΔSOFA)を確認します。
- 判定出力の参照 - Sepsis-3のスクリーニング条件を満たしているか(急性増悪2点以上)の表示を確認します。
本ツールはブラウザ上で即座に再計算が行われるため、条件を変更した際の影響を簡単に比較できます。予想と異なる結果が出た場合は、入力数値の桁数、単位設定(mg/dLなど)、および定義の選択を再確認してください。
計算式と理論背景 - Sepsis-3とSOFAスコア
Sepsis-3 診断基準計算ツールでは、以下の基本ルールに基づいて判定を行っています。
敗血症の判定基準 = 感染症(またはその疑い) + ベースラインからのSOFAスコア増加 ≧ 2点
Sepsis-3(第3次敗血症国際コンセンサス定義)では、敗血症を「感染に対する生体反応が調節不能に陥り、重篤な臓器障害が引き起こされた状態」と定義しています。急性臓器障害の指標として、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコアの2点以上の急上昇(ΔSOFA ≥ 2)が判定の要となります。
- SOFAスコアの構成要素: 呼吸器(P/F比)、凝固系(血小板)、肝機能(ビリルビン)、循環器(MAPおよび血管作動薬)、中枢神経(GCS)、腎機能(クレアチニン・尿量)の6つの臓器系をそれぞれ0〜4点で評価します。
- 乳酸値の役割: 血清乳酸値はSOFA合計点には直接加算されませんが、組織低酸素や敗血症性ショック(Septic Shock)のリスクを評価する重要指標として併せて表示されます。
- qSOFAとの関連: ICU以外の一般病棟や救急現場では、迅速スクリーニングツールとしてqSOFA(quick SOFA:呼吸数≧22回/分、意識障害GCS<15、収縮期血圧≦100mmHgのうち2項目以上)も活用されます。
本計算ツールはJavaScriptによりローカル環境で処理されるため、動作が非常に高速でプライバシーが保護されます。学習・演習・臨床サマリー作成の補助として役立ちます。
前提条件と制限事項
本計算ツールは、Web上で迅速な計算と確認を行うための簡易実装モデルです。電子カルテからの自動データ取得や個別プロトコルの詳細な自動調整を行うものではありません。実際の医療現場や研究での利用にあたっては、必ず公式のSOFAスコアリングガイドラインや施設基準、専門医の臨床的判断を参照してください。
Sepsis-3 計算ツールの活用シーン
Sepsis-3 診断基準計算ツールは、入力値と結果の計算過程が明確に確認できるため、以下のような多様な場面で活用いただけます。
- 敗血症スクリーニング・医学教育 - 感染症の疑いとSOFAスコア2点以上の上昇の関係性を学ぶ学習ツールとして。
- ICU・救急カンファレンスの準備 - 患者の各臓器機能スコアの変化を迅速に集計・整理。
- SOFAスコア計算演習 - 呼吸器系・凝固系・肝機能・循環器系・中枢神経系・腎機能の数値からスコア算出方法を練習。
- ベースラインからの変化量(ΔSOFA)の可視化 - 単一時点の合計スコアだけでなく、発症前からの急性悪化度合いを明確に把握。
計算結果を診療記録やレポート、プレゼンテーションに引用する際は、後から検証できるよう元となった検査値および測定日時を合わせて保管しておくことを推奨します。