VFD計算機の使い方
VFD計算機は、インバータ(可変速駆動装置)で駆動する三相誘導電動機の回転数と三相有効電力を、少数の入力値から見積もるツールです。出力周波数、極数、すべり、線間電圧、線電流、力率、効率を入力し、出力電力の表示単位(W・kW・HP)を選んでください。ブラウザ内で単位換算と計算が行われるため、別途換算作業をせずに各入力の物理的意味に集中できます。
入力パネルは上から順に記入するのがおすすめです。周波数、極数、すべり、電圧、電流、力率、効率は、銘板値や設計資料に基づく正の数値を入力してください。結果が入力の変化に敏感な場合は、低・標準・高の3パターンで試算すると、VFD計算機を設計レビュー、授業、現場見積もり、条件比較により有効に使えます。
結果パネルでは、まず主な答え(実回転数)を表示し、続けて同期回転数、三相出力、換算後の補助値、計算ステップを示します。数値は公式に沿って追跡できるため、ブラックボックスではなく検証可能な結果として扱えます。入力が有効範囲外の場合は、誤解を招く出力を避け、確認を促すメッセージを表示します。
計算式と理論 — VFD計算機
VFD計算機が用いる基本式は次のとおりです。
RPMsync = 120 f / poles; RPMactual = RPMsync(1 - slip); P = sqrt(3) V I PF eta
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| f | インバータ出力周波数(Hz) |
| poles | モーター極数 |
| slip | すべり(速度ロス率) |
| V | 線間電圧(V) |
| I | 線電流(A) |
| PF | 力率 |
| eta | 効率 |
同期回転数 (N_s = 120f/p) は、インバータの出力周波数と極数から求まる理論上の回転数です。実回転数は (N = N_s(1-s)) で、負荷によるすべり (s) を差し引いた値になります。三相有効電力は (P = \sqrt{3},V,I,\cos\phi,\eta) で、線間電圧・線電流・力率・効率から見積もります。
この式は計算機の近くに表示されるため、数値結果を根拠のある関係式に結びつけられます。多くの場合、選択した入力を内部の一貫した単位系に換算してから式を適用し、表示単位に戻します。Hz、kHz、パーセント、W、kW、HP など実務的な単位でも、同じ計算ロジックで扱えます。
VFD計算機は決定論的な簡易モデルであり、完全なシミュレーションではありません。実際の系では、負荷トルク、V/f制御やベクトル制御の方式、温度、製造公差、測定誤差、配線損失、調整状態などが影響します。表示される注記は、選択した計算における主な制限を示します。
前提条件と限界
この計算機は、入力値が同一の運転条件を表し、簡略化した式が用途に適していることを前提とします。安全に関わる作業、正式な設計、品質検収、構造確認、車両安全、医療用途、認定試験報告では、VFD計算機を予備確認としてのみ使用してください。最終判断は、規格、試験データ、校正済み計器、有資格の専門家による確認とあわせて行ってください。
VFD計算機の活用例
VFD計算機は、インバータ駆動モーターの回転数と三相出力を素早く繰り返し見積もりたい場面で役立ちます。代表的な用途は次のとおりです。
- 学習と授業 — 周波数、極数、すべりを変えたとき、回転数と出力がどう変わるかを確認します。
- 電気設計の初期確認 — 手計算、表計算、シミュレーション結果との照合に使います。
- 機器選定と計画 — ポンプ・ファン・コンベアなどの速度制御設計で、条件の幅を試します。
- 記録と説明 — 公式、単位、主結果、補助結果をそろえて共有・レビューしやすくします。
VFD計算機はブラウザ上でローカルに動作するため、what-if 試算を繰り返しやすい点が利点です。入力を1つずつ変えて補助値の変化を見ながら、より詳細な解析の出発点として使ってください。